人は,空の蒼さを見て,人を殺してしまうこともある。だが,空にはなんの罪もない。
16日に起こされた訴訟で,北米男性/少年愛協会の運営するウェブサイト「Nambla.org」と,Nambla.orgをホストしていたプロバイダーが訴えられた。これは,97年10月にNambla.orgを見た後で,少年を誘拐して残忍な仕打ちをし,殺害した男性の事件によるもの。男性は終身刑に服している。
折々掲示板に出没し,犯行の直前にも書き込みをしていったバスハイジャック犯(過去記事)。自分のウェブサイトで多くの人と言葉を交わし,自殺の直前にリアルの名前と,遺書の残していった少年(過去記事)。何度も「本気だ」と書き残してから電車内でハンマーを振り回す暴挙に至った少年(Mainichi INTEERACTIVEの記事,2chスレッド)。ゲームやウェブに罪を求める偏重的な報道は,いまだになくなりはしないが,これらの事件は,どれもワイヤードとかすっているだけに過ぎない。記事後半にあるように,ウェブサイトやプロバイダーに,現実的な罪が認められることは,まぁないだろう。それは,空の蒼さに罪を求めることと同じだからだ。
ワイヤードは人を殺せるか? 殺せる。確実に殺せる。ウェブサイト上で,ゆっくりと静かに,ひとりの人間のイメージに傷を与えていき,あるときは刺激的に,あるときは情感的に,反感を煽っていく。「ペンは剣よりも…」という言葉があるが,ワイヤードはペン以上の力を持っていることは,もうわかっているだろう。だがそれも,ペン自体に犯行への責任があるわけではない。常に責任は,情報を受け取る人間,以外には,ない。
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